おはようございます、ジョンです。本日は灰田高鴻先生の「夢てふものは頼みそめてき」を紹介です。
本作は漫画雑誌モーニングで連載中。待望の第1巻は2022年11月22日発売です。
1.「夢てふものは頼みそめてき」のあらすじ
明治34年。文明が開化し、伝統と革新が入り混じる混沌の時代。
美人画のことばかり考える若き浮世絵師・池田輝方は、夢で見た美女に瓜二つの女学生・榊原百合子と出会う。
運命を感じる輝方だが、百合子はまっすぐすぎる彼の勢いに怯えるばかり。
しかし実は彼女もまた輝方らしき男を夢で見ていたのだった。
2人の不思議な出会いから始まる、ベイスド・オン・トゥルー・ラブストーリー開幕!
2.「夢てふものは頼みそめてき」のおすすめポイント
「夢てふものは頼みそめてき」は一言で言うと、とてもまっすぐな漫画です。
百合子との出会いに運命を感じた輝方は、その想いをまっすぐに百合子にぶつけます。
百合子も輝方に運命めいた何かを感じながらも、まっすぐすぎる輝方に翻弄されてしまいます。
しかし輝方も百合子も絵に対する情熱は本物で、とてもまっすぐなものです。
まだ噛み合っていない2人ですが、2人の向いている方向は一緒です。
次第に惹かれ合い、共にまっすぐ進んでいく様子を見ることが出来るでしょうね!
3.「夢てふものは頼みそめてき」のタイトルの意味は?
「夢てふものは頼みそめてき」のタイトルの由来は小野小町の和歌になります。
小野小町 古今和歌集
「うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき」
現代語訳
うたた寝をして恋しい人を夢に見て以来、夢というはかないものを、私は頼りにし始めたのであった。
輝方も百合子も夢でお互いの姿を見ています。
それはきっと運命に近い何かなのでしょうが、それでも夢は夢。
夢というものははかないものです。
輝方は夢で見た百合子と現実の百合子を同一視し、百合子に自分の理想を押し付ける形になってしまっています。
そして百合子は夢で見た輝方と現実の輝方とのギャップに驚き、戸惑っています。
2人が見た夢はあくまできっかけでしかありません。
夢で見た姿を頼りに、お互いの現実の姿を受け入れることが出来ると良いですね。
4.「夢てふものは頼みそめてき」はどんな人におすすめ?
「夢てふものは頼みそめてき」はシュールな笑いが好きな人や何かやりたいことがあるのに一歩踏み出せない人におすすめの漫画です。
輝方はとても破天荒な人物です。
彼の突飛な行動に百合子だけでなく、私達も驚かされ、つい笑ってしまうことでしょう。
輝方は作中でよく川に飛び込んでいます。
中でも私の好きなシーンを紹介します。
輝方が一晩中百合子のことを想い、百合子を描いていた時のことです。
百合子はその絵を見て、「こんなの全然私じゃない」と絵を破ってしまいます。
なぜ百合子はそんなことをしたのか。
それは輝方の描く理想といえる百合子像が、百合子の考える‘こうあらなくてはいけない自分’と重なったからだと思います。
百合子は母親から長女らしい振る舞いを期待されています。
そして期待どおりに生きられない自分にどこか負い目を感じているのです。
しかしそれでも百合子は長女としてではなく、一流の絵師を目指したいのです。
そんな百合子の本音を引き出したのは、輝方のまっすぐな行動のおかげでもあると思います。
その後2人は紆余曲折を経て、一緒に川に飛び込みます。
2人の仲が少し近づいたエピソードでした。
何かやってみたいことがあるのに躊躇している人はこの漫画を読んでみてください。
きっと2人に背中を押してもらえるでしょう。
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